楽な商売だと思ったらとんでもない。
一人社長の不動産業務日誌
カテゴリー【お客さん
はじめてのお客さん(後編)
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2021-02-06

さて、申込みということになれば、お客さんの詳しい素性を聞かざるを得ません。つまりは勤務先と保証人ですね。その段階で初めて、お客さん、言いづらそうに「実は…2年前、工場で作業中足場から転落して大けがをして、長期間入院を余儀なくされまして…で、契約社員だったんでその間に契約切れまして、会社からも切られました」と。入院中は労災が下りてたんだけど、それも無くなったので、就職活動。しかし働き口が見つからず?結局「生活保護」…。
それ聞いて上がっていた私のトーンは大幅に下がりました(ってか、あんたそんな若くてピンピンしてんのに…仕事なんていくらでも見つかるだろ、働けよ…市役所は何やってんだよマジで。と心の中で思った。)。しかし自分にとってはあくまでお客さん。最終的に売上になるよう、感情など捨ててマシーンにならなくてはいけない。
保証人になってくれる人も居ないが、緊急連絡先になってくれる身内はいるとのこと。それなら申し込めます。早速、3件目の物件の元付業者さんに入居申し込みの意思、およびお客さんのステータスを伝えたところ、「なるほど、事情はわかりました。では、後日弊社までお客さんと来てもらえますか?」とのこと。ふむふむ、つまりは面接ってやつだね。入居申込書もその場で書くことになるのかな。早速翌日、お客さん連れて元付事務所へ。ここで第一の事件発生。担当のお姉さんが多少いいづらそうに、流通させてる(我々が持っている)募集図面を、なんと条件を変えて新しく編集した図面を出してきました。まず、礼金を1つ追加。更に、毎月の家賃が生活保護の家賃幇助限界額までアップ。こんなこと…こんな事許されるのか?さすがの私も驚いた。確かに、法定家賃幇助限度額まで、費用は市が出す訳で、お客さんの懐は痛みません。でもこのお客さんは、多少なりとも自分の立場を理解して、あえて限度額より相当安い物件を選んだ。まだ生活保護にどっぷりつかりきっていない、かなりまともな部類の人間だ。それに対して、大家、および不動産屋側が、限界ギリギリまで保護費を引き出すって、どういうことだ。出すのは市っていっても市じゃない。我々市民の税金じゃないか。さすがのお客さんもそれを見て、「ちょっと考えさせて下さい」と返答し、一旦帰ることに。そりゃそうだ。帰りの電車の中、お客さん「すみませんけど、断ってください」。了解しました。引き出せるなら限界まで引き出してやれってことだが、それにしても愚かな行為だ。だって、そのような愚かな行為によって、決まりかけていたお客さんを自分から逃がしたのだから。こんな事、業界では日常茶飯事的に行われているのだろうか。
でもこのお客さん、このような仕打ちをうけてもあまりへこたれない。次は、2件目に行ったマンション3Fを聞いてみてもらえますか、と。えー、早速元付に電話したところおばちゃん即答。「生活保護ぉ?ダメダメ。だって削減されるっていうじゃない。その時、その人、払える保証あるの?ないでしょ。お断りしたいですね。」だって。いやー、やっぱり内見の前にお客さんの素性はある程度聞いておかなくてはダメですね。いい教訓になりました。あえなく、2件目も撃沈。
残るは、最初に見に行った、3件の中では最も微妙なアパート。しかしお客さんも大したもんだ。こんなに芋ずる式に申し込もうって人、そうはいない;。しかあし!三度目のここも、生活保護を伝えたら…条件アップしてきやがった。ただまあ、お客さんとしては、1件目で慣れていたのか、そして1件目ほど露骨な値上げじゃなかったからか、「仕方ないですね」と承諾した。なかなか強い人だ。入居申し込み書兼保証委託申込書を完成させ、後日、仲介手数料1ヵ月分、いただきました!!やった…やったぞ!初仕事にして初成約!!
しかしこの後まだちょっとあって、私、「ペットの匹数」を1匹と決めつけて元付さんに伝えてしまうという致命的ミスを犯してしまう。本人が元付さんに契約に行ったその場で「2匹の予定ですよ」というトラブル発生。。やってしまった…。そしてそれを聞いた大家さん、更に家賃の千円アップを要求。。事態はドロ沼化の様相を呈したが、私、電話で必死の説得。条件、お客さんに飲んでもらいました…。迷惑をかけてしまってお客さんにも元付さんにも申し訳なかったが、皆いい人で良かった…。トラブル続きの初仕事、大変な勉強をさせてもらいました。
ちなみに、初仲介の元付さんはとなり町のウサギの業者さん。ウサギもハトも関係ないんですよ。ま、最初の2件の業者さんは両方ハトだったというのは、何の因果やら。

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